売掛金の管理をしていた頃、ある女性事務員のことが今でも印象に残っています。
彼女は仕事がとても効率的な人でした。「仕事は一生懸命する、でもプライベートも大事にする」というスタンスで、定時にはきちんと退社し、有給休暇もしっかり消化する。効率よく成果を出すタイプでした。
月末なのに、残っている残高
ある月、全社の売掛金残高をチェックしていて、あれっと思うことがありました。月末は休日ではないので通常なら入金があるはずなのに、残高が残っている。作業ミスかと思い、本人に確認したところ、返ってきた答えは意外なものでした。
「月末月初に有給を取る予定だったので、請求書の送付が遅れる。だから入金処理はせず、そのまま得意先には請求書だけ送っておいた。案内も伝えてある」とのこと。
彼女なりの「効率」が、ルールを変えていた
彼女なりの理屈はあったのでしょうが、これは会社のルールからすると看過できないことでした。念のため、他の事業所にも同様のケースがないか確認したところ、どこも「そんなことはあり得ない」という反応。彼女なりのやり方で、知らぬ間に会社のルールを変えてしまっていたのです。
そこで、全社を巻き込んで対応することにしました。売掛金管理の徹底と、ルールを無視した場合は事業所全体にペナルティが及ぶことを改めて通達したのです。
社長の、粋な一言
後日談ですが、この通達のあと、彼女が社長に直接、話をしにきたことがありました。「月末月初に有給を取りたいので、入金処理をせず請求書だけ先に出すことを許可してほしい」という内容です。支店長も驚いていたようです。
このときの社長の対応が印象的でした。「あなたが休んでいる間は、私に出張してもらって代行させます」。
結局、彼女はきちんと業務を終えてから、有給休暇を取ることになりました。
個人の効率と、組織のルールのあいだで
仕事ができる人ほど、自分なりの効率のよさを追求しがちですが、それが会社のルールとぶつかることもある。この出来事は、個人の効率と組織のルールのバランスについて、あらためて考えさせられた出来事でした。
執筆者:中小企業 元一般事務員・元役員

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