よく休む、けれど仕事はできる人
ある地方の事業所に、仕事がとてもできる女性事務員がいました。頭の回転が速く、テキパキと作業をこなすタイプでした。
ただ、時々、体調を崩して会社を休むことがありました。そう頻繁ではないのですが、休むとなると必ず何日か続くような休み方でした。
バックオフィスの担当者が休むと、その分の仕事は、どうしても営業社員にしわ寄せがいきます。営業の動きが止まれば、それは会社の業績にも直結します。だからこそ、彼女が休むと、社内でも目立ってしまうところがありました。
出張のたびに、食事の時間を作った
支店を訪問するとき、私は必ず彼女と食事の時間を作るようにしていました。話をする中で、本人から「感染症にかかりやすい」という話を聞きました。会社を休む理由も、ほとんどがそれによるものだと分かりました。
私は、体質改善を勧めてみました。それから、支店を訪ねるたびに、同じように体調のことを話題にするようにしていました。参考になればと思い、私自身が実践していた健康法をいくつか紹介したこともあります。
正直なところ、話を聞くたびに、少し心配になっていました。仕事ができる人だからこそ、なおさら気になっていたのだと思います。
1か月の休みをきっかけに
感染症が広がっていた時期、彼女はまた体調を崩し、今度は1か月ほど会社を休むことになりました。検査の結果は陰性だったのですが、完治するまでにそれだけの時間がかかったのです。ちょうど決算の時期と重なり、支店には作業をする人手がなく、私が代わりに支店へ入って対応することになりました。
しばらくして、彼女から連絡がありました。以前話していた健康グッズを購入してみたい、詳しく教えてほしい、とのことでした。1か月の休みは、本人にとってもかなりこたえるものだったのだと思います。自分の健康と向き合おうとする、その前向きな姿勢が、私はうれしく感じました。
彼女はさっそくそれを取り入れ、使い始めました。私自身の経験について話しながら、感じ方には個人差があることも伝えていました。
気づけば、休まなくなっていた
それから月日が流れ、あるとき、ふと気づきました。そういえば、彼女は最近、休まなくなっている、と。
本人が健康を意識するようになったことが、何より大きかったのだと思います。それに、もしかしたら、あの健康グッズが彼女に合っていたのかもしれません。そのあたりは、正直なところ分かりません。それ以降、健康について私が何か話すと、彼女は素直に取り入れるようになり、今では体調を維持できているようです。
健康な社員がいてこその、会社の継続
社員の体調不良は、本人だけの問題ではなく、会社にとってもリスクになります。何が正しいかは人それぞれなので、押しつけることはできません。それでも、生活習慣を見直すきっかけくらいは、伝えることができる。私はそう思っています。
健康な社員がいてこそ、会社は健全に続いていく。今振り返っても、そう感じています。
ただ、今振り返れば、社員一人ひとりの健康への意識だけでなく、誰かが休んでも業務が止まらない体制を作っておくことも、会社側の大切な役割だったと思います。
本人の健康と、会社の仕組み。その両方があってこそ、安定して仕事を続けていけるのだと、今は感じています。
執筆者:中小企業 元一般事務員・元役員


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