【番外編⑮】部下との距離感

キャリアストーリー

部下との距離感。私の場合、答えを先に言ってしまうと、「距離感はなかった」になります。

ただ、それは仲がよかった、何でも許していた、という意味ではありません。


直属の部下と、間接的な部下

私の直属の部下は、男性ばかりでした。当初は女性もいましたが、辞めてしまったので、結局、男性のみになりました。

ただ、私は女性事務員のリーダーでもあったので、間接的には、女性も部下になります。

直属の部下は、日々そばで仕事をしています。だから、何かしらコミュニケーションを取るようにしていました。


上司と部下ではなく、「同志」

最初から、私が上司だという考え方はしませんでした。

私は、長年放置されてきた問題を一つずつ明らかにし、会社を立て直すという使命を持って、本社へ転勤しました。だから、同じ志を持った部下は、上司と部下というより「同志」だと、常に考えていました。

年齢も、育った環境も、全く違います。だから、まず、共通点をどこに置くかを考えました。仕事をする上での目標、つまり、会社が抱える問題にどこから手をつけ、どう立て直していくか。そんな話を、隙間時間や、勤務が終わってから飲食をしながら、よくしたものです。

考え方が同じであることは、とても心強いものでした。立て直しは大変ですが、向かう先が同じであれば、上司、部下という関係よりも「同志」だと考えるようになったのです。

何かを成し遂げるためには、一人では限界があります。方向性を共有することが、会社の発展につながると、いつも考えていました。


言いたいことが言える関係

このような距離感でいれば、言いたいことも言える体制にできますし、なんといってもコミュニケーションが取りやすい。困ったときはお互い様で、声をかけやすくなります。

それから、観察する目を持つこと。どんなにコミュニケーションを取っていても、たまに言いづらい場面があります。そういうときのために、気づきの目を持つことを忘れないようにしていました。「いつもとちょっと違うなぁ」といった変化への気づきです。

逆に、私が気づいてもらうこともありました。私が間違っていた、見落としていた、ということです。自然とそのような相互の気づきが生まれる。遠慮なく言える雰囲気を作ることは、大事だと思っています。


叱ることもあった。そのあとは必ずフォロー

叱ることもありました。致命的な間違いは、絶対に繰り返してはいけません。だから、これは遠慮なく叱りました。給料をもらっている限り、私たちはプロです。同じ過ちをしてはいけない。学習すること。これを常に徹底しました。もちろん、私自身も同じように徹底しました。

そして、叱ったあとは、必ずフォローを忘れませんでした。世間話などで、気持ちを和らげるようにしていました。そうしないと、萎縮してしまいます。萎縮すると、また間違える。負の連鎖です。これは避けなければなりませんでした。


地方の女性事務員とは

女性事務員は直属ではありませんが、部下になります。

おそらく私は、遠く離れた、手の届かない存在に見えていたと思います。自慢ではありません。私が社会人として最初に入社した会社の経理課長は、女性でした。バリバリ働いて、会社の数字を握っていて、部長クラスと対等に話をして、女子事務員のボスでもありました。私にとっては遠い存在で、話しかけることもできませんでした。

会社で初めての女性管理職、本社への転勤(世間で言えば栄転になります)、そして最終的には取締役。自慢するつもりは全くありませんが、もし自分が事務員の立場だったら、どう考えても手の届かない存在としか思えないと思います。年齢が離れていれば、なおさらです。

だから、地方へ出張したときは、仕事のときは真剣でも、夜は必ず会食をして、コミュニケーションを取りました。「私はそんなに偉くないよ〜」と、普通の女子会を楽しんだのです。

そうすると、遠慮なく話してくれたり、頼ってもらえたりしました。これでいいのだと思っています。

肩書きで呼ばないでほしい、とも伝えました。「〇〇さん」でいいよ、と。肩書きをかざして偉そうにしていたら、報告すべきことや問題点が見えなくなってしまうからです。

とにかく、横のつながりと見える化を大事にしました。なんといっても、女子事務員は、会社のお金に関しては最後の砦だと考えていました。教育もしましたが、コミュニケーションも沢山取りました。


考えてみれば

私にとってコミュニケーションは、単に人間関係をよくするためのものではありませんでした。問題を早く見つけ、報告や相談ができる職場をつくるためのものでもありました。

仕事は、相手があって成立するものです。

考えてみれば、私はいつも、コミュニケーションを仕事としていたのかもしれません。


執筆者:中小企業 元一般事務員・元役員

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